中学生闘病記

中学生闘病記⑧ 手術までの実況中継 次に目覚めた場所は集中治療室だった





胸部切開手術当日
残酷にもその日はやってきた・・・

 

朝からバタバタと看護婦さんたちが
手術準備で病室を出入りする
刻一刻と時間は迫ってくる

 

入院以来、私の時間は止まっていた
何をしていても時間がなかなか進まなかった
それなのに、この日に限っては時間の経過が早すぎる

 

「嫌だ・・・」
「嫌だ・・・」
心の中で何度こう叫んだかわからない

それでも、時間は止まることなく、
手術室に向かう時間がやってきた

 

「大丈夫だからね」
「手術室の前でずっと待っているからね」

母がそう言って私の手をぎゅっと握った
母と手をつないだのは何年ぶりだろうか
母の手の温かさを感じ、涙がこぼれた

 

「がんばれよ」
普段、口数の少ない父の発したこの言葉が
やけに心に響いた

 

タンカーに乗せられ、手術室運ばれた私
心臓の鼓動が早くなる
あまりの恐怖に身体が震える
今にも逃げ出したい
そんな心境だった

 

全身麻酔での手術のため、
口元に酸素マスクのようなものを装着された
呼吸をするたびに、麻酔薬を吸い込むようで、
次第に意識が遠のく

 

ダメだ・・・
ダメだ・・・
意識が遠のくのを必死でこらえようとしたが・・・

・・・・・・・

 

気づいたら集中治療室のベッドの上で寝かされていた
そこからどんなやりとりがあったかはよく覚えていないが、
いつも間にか両親と祖父が隣に立っていた

「よくがんばったね」
そう言いながら母が涙を流していた

 

後から母にきいた話によると、
手術時間が終了予定時刻よりも大幅に遅れていたという

 

途中、詳しい説明があるわけでなく、
ひたすら手術室の前で待つしかなかったという両親と祖父
それはそれは長い長い時間だったという

 

集中治療室での面会時間は決められており、
面会時間も短い
娘のそばにずっとつい添いたいと申し出したが、
決まりだからと断られたという

 

一方、集中治療室の私
目が覚め、意識がはっきりしてくると、
身体中に激痛が走った

 

今までに感じたことのない痛みだ
痛くて痛くてたまらない
おかしくなりそうな壮絶な痛みとの闘いが待っていた

 

それはそうだ
胸部を切開したのだ
擦り傷でされ痛いのだから、
メスで切られた部分は相当痛い

 

痛かったり何かあったらナースコールボタンを押してね
集中治療室の看護婦さんから私の手にナースコールボタンが渡された

恐ろしほども痛いが続き、
とにかくボタンを押し続けた

 

痛み止めの薬は、ある程度時間が経過しないと投与できない
薬が効くと痛みが和らぐが、その時間はわずか
また強烈な痛みが押し寄せてくる

 

「耐えられない」
「こんな痛み、どうにかなりそうだ・・・」
そう思い、ナースコールを押す

 

そのたびに、看護婦さんが私のもとへやってくるが、
言うことはいつも同じ
「さっき、痛み止めを使ったばかりだからもう少し我慢してね」
そう言って戻っていった

 

「痛い・・・痛い・・・」
一人ぼっちで寝かされていた私
痛みに耐えきれず、大声で「痛い」と叫び続けていたのを覚えている

 

とにかく数分間隔でナースコールボタンを押していたらしい
私としては、そんなつもりはなく、
痛みを我慢し、我慢の限界に達してボタンを押していたつもりだったが、
集中治療室の面会時間でやってきた母がその履歴をみて驚いたという

 

通常、2日ほど集中治療室で過ごすのだが、
そんな経緯もあり、
集中治療室での看護困難と判断されたのか、
翌日には小児病棟へと戻されてしまった

とはいえ、痛みが和らいだわけではない
数日間は、恐ろしい痛みとの闘いが続いた

そんな私の胸部には・・・

 








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