中学生闘病記

中学生闘病記⑪ 大病を患った子供をかかえる家族の壮絶人生 私が父から奪ったもの





そして、私が大病を患ったことで、
家族の人生も激変し、壮絶な人生が始まった

 

父は、入院以来、毎日必ず私のもとを訪れた
どんなに仕事が遅くても、
必ず病院へやってきては私の顔をみて帰っていった

 

当時の私は思春期・反抗期に突入していた
父親をどこか毛嫌いしていた

 

当然、母と同じような会話はない
そのことを知ってか、
病院にきたとしても対して父と話すわけでもない
母に一日の様子をきき、家へと帰っていった

 

父にとって私はたった一人の娘だ
小さかった頃は、相当な溺愛ぶりで
休日はいろいろなところへ連れて行ってくれていた

 

そんな娘が原因不明の病に倒れた
父はさぞかし心配だったに違いない
父にとっても不安であり、悲しみにあけくれていたに違いない

 

 

私の前では決して弱音を吐かなかった父であったが、
一度だけ私の前で父が涙した

後にも書くが、治療の合間に外泊許可がおりたことがある
家へと帰り、また治療のために病院へ戻る
病院で到着すると、
辛い治療のあまり「家に帰りたい」と泣き叫んだ私

その姿をみて、
父は涙した

 

こんなにも辛い治療を娘にさせている
可哀そうなことをさせている
どうして娘がこんな目に遭わなければいけないんだ
そのような思いで泣かないと心に固く誓っていた父から涙があふれた

 

父の涙は私にとっても衝撃的だった
わがままと言っている自分が
とんでもないことをしているような気持ちになったのを覚えている
それだけ父の涙は私にも堪えた

 

父は、私が病気になったことで多くのことを失った

いや、私が父から多くのことを奪ってしまった

 

私が長期治療を余儀なくされたことで、
父の仕事にも影響が出た
出世コースを歩んでいた父
その父に異動の話が出た

 

ところが、父はその異動を辞退した
異動すれば、今以上に仕事に追われ
毎日娘の様子をみに病院へ通うことができなくなる
息子の面倒もある
そのため、出世となる異動を辞退し、
娘の治療が落ち着くまで、異動せず勤務したいと申し出たのだ

 

これまで同期の中でも真っ先に出世していた父
最終的には、この時のことが影響し、
父の思い描いていた出世コースを歩むことができなかった

 

自分が社会人となり仕事をしたことで、
当時の父の決断がどれだけ父の出世の妨げになったかを痛感した
でも、父はそのことを決して愚痴らなかった

 

同期の出世を知り悔しいに決まっている
自分も同じ、いやそれ以上に出世できたのに・・・と思う気持ちもあるはずだ
でも、それを決して口には出さない
辛い治療に耐え抜いた私に対しての父の配慮であり、
十分すぎる優しさであると感じている

 

お父さん、病気になってごめんね
でも、本当にありがとう
今となっては恥ずかしくて言えないが、
心の底から感謝している

 

そして、そんな父は
今では私の子供たちから大人気のおじいちゃんだ

そして母・・・










-中学生闘病記

© 2020 にこタイムズ